楽
きみはときどきやってくるよね
ぼくのきらいな雨上がりの夕方なんかにこうして
深く呼吸を吐いてみるけど
右の肺にへばりついて出て行かない
たったひとつのたんじゅんなことを言い切ってしまえば
楽になれるのかもしれない
***********
おもいだせばあんしんできるようなふるさとならよかった
ぼくのきらいな雨上がりの夕方なんかにこうして
深く呼吸を吐いてみるけど
右の肺にへばりついて出て行かない
たったひとつのたんじゅんなことを言い切ってしまえば
楽になれるのかもしれない
***********
おもいだせばあんしんできるようなふるさとならよかった
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by hiromiwithk
| 2012-02-23 16:09
| 詩 うた
無伴奏
故郷を遠く離れて
小さな街角で見上げる空には何か足りない
君と肩を組んでゆこう、と、
言った
君
秋の空にロックンロールが響く
秋の夜月にブルースが聴こえる
夕焼けが薄く残る西の空の向こう
僕らの故郷から四弦の音が聴こえる
何かが足りない街の空
ぼくたちは低く呟きながら歩く
故郷を遠く離れて
小さな街角で見上げる空には何か足りない
君と肩を組んでゆこう、と、
言った
君
秋の空にロックンロールが響く
秋の夜月にブルースが聴こえる
夕焼けが薄く残る西の空の向こう
僕らの故郷から四弦の音が聴こえる
何かが足りない街の空
ぼくたちは低く呟きながら歩く
故郷を遠く離れて
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by hiromiwithk
| 2011-10-18 21:26
| 未分類
小さな娘が思ったこと
「小さな娘が思ったこと」 茨木のり子
小さな娘が思ったこと
ひとの奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう
木犀みたいに
くちなしみたいに
ひとの奥さんの肩にかかる
あの淡い靄のようなものは
なんだろう?
小さな娘は自分もそれを欲しいと思った
どんなきれいな娘にもない
とても素敵な或るなにか…
小さな娘がおとなになって
妻になって母になって
ある日不意に気づいてしまう
ひとの奥さんの肩にふりつもる
あのやさしいものは
日々
ひとを愛してゆくための
ただの疲労であったと
小さな娘が思ったこと
ひとの奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう
木犀みたいに
くちなしみたいに
ひとの奥さんの肩にかかる
あの淡い靄のようなものは
なんだろう?
小さな娘は自分もそれを欲しいと思った
どんなきれいな娘にもない
とても素敵な或るなにか…
小さな娘がおとなになって
妻になって母になって
ある日不意に気づいてしまう
ひとの奥さんの肩にふりつもる
あのやさしいものは
日々
ひとを愛してゆくための
ただの疲労であったと
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by hiromiwithk
| 2011-09-30 14:46
| 詩 うた
問うてる
僕は考えてるんだ
願うのにも似たような気持ちで
あるひとつのことをずっと
問うてるんだ
だけど花のようなものは薄い雲の向こうにまだ見えず
ねえ、教えてくれないか
月
祈りのような僕の考えの行きつく場所にあるその答えを
だけどほんとうは僕にさえ
この祈りの真ん中は分からない
僕は何をどう思おう、
どんな言葉で君に伝えよう
直線で切り取られた夜空
星が消えそうな僕らの町
願うのにも似たような気持ちで
あるひとつのことをずっと
問うてるんだ
だけど花のようなものは薄い雲の向こうにまだ見えず
ねえ、教えてくれないか
月
祈りのような僕の考えの行きつく場所にあるその答えを
だけどほんとうは僕にさえ
この祈りの真ん中は分からない
僕は何をどう思おう、
どんな言葉で君に伝えよう
直線で切り取られた夜空
星が消えそうな僕らの町
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by hiromiwithk
| 2011-08-10 12:09
| 詩 うた
月に照る雲
言葉にならないことばかり
想いはちりのように積もってこの目を覆ったのだろうか
できることならすべて花のようにかがやくものに変えて
緑の上に蒔くように
言葉にできることなどほんとうはほんのすこし
砂浜でなくした大切なもののように
.............
流れることのないまましまいこまれた涙
夜空の中で
照りながら流れる雲の切れ間のその向こう側に目を凝らすような思い
想いはちりのように積もってこの目を覆ったのだろうか
できることならすべて花のようにかがやくものに変えて
緑の上に蒔くように
言葉にできることなどほんとうはほんのすこし
砂浜でなくした大切なもののように
.............
流れることのないまましまいこまれた涙
夜空の中で
照りながら流れる雲の切れ間のその向こう側に目を凝らすような思い
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by hiromiwithk
| 2011-06-08 13:16
| 詩 うた